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タレント議員の当選無効

立川あすかさんの当選無効!



4月20日付の読売新聞等に埼玉県新座市議の立川あすかさんの当選無効の記事が掲載されていました。選管が当選無効の決定をするなんて珍しい・・・。



女性タレント市議の当選「無効」…生活実態なく



2月に行われた埼玉県新座市議選で初当選したタレント立川明日香さん(27)が20日、市選挙管理委員会から当選無効との決定を受けた。

 市町村議について公選法で定められた「引き続き3か月以上、選挙区内に住所がある」との被選挙権の要件を満たしていなかったとされた。

 立川さんは2月19日投開票の市議選(定数26)に無所属で立候補。2067票を獲得し、候補者32人中5番目で当選したが、市民から「市に生活の本拠がない」との異議申し立てがあり、市選管が調査していた。

 調査の結果、立川さんは昨年9月20日に東京都練馬区から同市に転入したものの、住民票に記載された住居では、今年2月まで水道が使われておらず、電気の使用もわずか。ガスの契約は当選後と判明したという。

 最高裁は公選法の規定について「意思だけでは足りず、客観的に生活の本拠たる実態を必要とする」との見解を示している。

 当選無効の決定に不服があれば、告示から21日以内に県選管に審査申し立てを行うことができる。県選管の裁決にも不服があれば、その告示から30日以内に高等裁判所に提訴できる。最終的な決定まで議員の身分は保障される。立川さんは申し立てを行う意向。

 立川さんは記者会見し、「居住実態とは何なのかわからない。選管からの説明もなかった。今回の選管の判断は疑問がある」と不満を見せた。立候補の理由は「練馬区と隣接しているなどなじみがあった」と述べた。

 所属する芸能プロダクションのホームページによると、テレビドラマやCMモデル、キャンペーンガールとしても活動している。

(2012年4月20日11時53分  読売新聞)
fc2blog_201204212324471d3.jpg



なかなかしびれる決定ですが、このことについて自分なりに整理をしてみたいと思います。



選挙権と被選挙権



はじめに選挙権と被選挙権について再確認してみます。
選挙権は公選法9条に、被選挙権は10条に記されています。



公職選挙法
(選挙権)
第9条 (略)

2 日本国民たる年齢満20年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

(被選挙権)

第10条 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。

5 市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満25年以上のもの



引き続き3ヶ月住所を有しているかは通常転入届日で判断しますので、転入届さえ行っていれば問題ないように思われますが、民法では住所は次のように記されています。



○民法(口語)

第21条 各人の生活の本拠をもってその住所とす。



生活の本拠



そして生活の本拠については次のような最高裁判例があります。



○公職選挙法逐条解説(上)p77

住所とは生活の本拠であるが、事実上の生活の本拠であって、形式上の手続によって定まるものではない。すなわち、納税等の手続のみによって住所を認定することはできない。

(T9/10/1行裁、S29/10/20最高裁)


fc2blog_2012042123253247f.jpg



また類似判例でこのようなものもあります。



○選挙関連実例判例集第16次改訂版p94

参加人は、泰阜村に転入の届出をした平成15年9月26日までは、長野市内マンションを生活の本拠として居住していたが、その後も平成16年5月13日に至るまで長野市内マンションから退去しておらず、(中略)参加人の生活の本拠、すなわち、参加人の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心がα番地に移転したものとは認められない。(中略)以上より、泰阜村選挙人名簿への登録資格の基準日である同年3月1日現在において、参加人が、引き続き3ヶ月以上、現実にα番地の区域内を生活の本拠とし、同所に住所を有していたとは認められないから、本件登録に係る選挙人名簿には誤犀があると言わざるを得ず、原告らの異議申出を棄却した本件各決定は取消を免れない。

(H16/6/24長野地裁判決)



これらの判例と客観的事実を検討した結果、「事実上の生活の本拠は練馬区にあった」と市選管が認定した結果、当選無効となったと思われます。



当選無効になったらどうなる?



では、当選無効になったらどうなるのでしょうか?
今回のような当選無効の意義申出等を総称して選挙争訟といいますが、公選法110条の規定により「選挙争訟の結果当選無効となったら再選挙」が原則です。しかしながら、公選法96条の「ただし、再選挙を行わないで当選人を定めることができる場合(注)は、再選挙は行わず、更正決定の選挙会となる。」という規定が優先されますので、通常は更生決定の選挙会で次点落選者が当選となります。
(注)法定得票数を得ている落選者がいる場合など



・・・ややこしいでしね・・・。自分もこの結果にたどり着くまで公選法と1時間以上にらめっこしてましたwww
 



公選法110条

3 地方公共団体の議会の議員の選挙について、第206条(当選無効)の規定による異議の申出等の結果その全部又は一部が無効になったことにより当選人がその選挙における議員の定数に達しなくなったときは、前条の規定の例により、再選挙を行わせなければならない。

(※一部略)



96条(当選人の更正決定)

第206条(当選無効)等の規定による異議の申出等の結果、再選挙を行わないで当選人を定めることができる場合においては、直ちに選挙会を開き、当選人を定めなければならない。



更生決定の選挙会



更生決定の選挙会を行った選管はいくつもあると思いますが、参考として茨城県神栖市を例示しておきます。


(H24/04/22追記)

当選無効の女性タレント「新座は寝泊まりに…」


 2月の埼玉県新座市議選で初当選したタレント立川明日香さん(27)が20日、市選管から「市内に居住の実態がなく、被選挙権は認められない」として、当選無効の決定を受けた問題。

 立川さんは取材に、「『ここに住んでいる』と住民票が表している。居住の実態がないとだめ、というのは疑問」と不満を口にした。

 立川さんは決定を不服として、県選管に審査申し立てを行う考えだ。

 公職選挙法は、市町村議は「引き続き3か月以上、選挙区内に住所がある」ことを被選挙権の要件とし、「住所」について最高裁は、生活実態が必要、との見解を示している。

 立川さんは昨年9月に東京都練馬区から新座市に転入したが、市選管は、水道が使用されていないことなどから、「成人女性が生活しているとは考えにくい」とした。

 市選管によると、立川さんの家族は、「新座市に移ったのは当選後で、それまで(練馬区に)一緒にいた」と証言したという。また、立川さんは「新座市には寝泊まりに行っていた。水道水は飲まない。トイレも行かない」と弁明したという。これについて、立川さんは記者会見で、「(事実関係については)弁護士と相談して対応する」と明言を避けた。

 他の市議らは、複雑な反応を見せた。亀田博子議長は「市選管が出した結論でありやむを得ない」と話し、26日の同市議会全員協議会で意見を求め、今後の対応を考えることを明らかにした。

 一方、立川さんが所属する市議会会派「市民と語る会」代表の高邑朋矢市議は「母親をしながら選挙を行い、芸能活動も続けてきた立川さんの努力が認められなかった。寝るために新座市に帰っていたということが生活実態にならないと判断され、残念」と話した。

(2012年4月21日17時27分  読売新聞)



(H24/05/14追記)

市議当選無効の女性タレント、審査申し立て(読売新聞)



 2月に行われた埼玉県新座市議選で初当選しながら、選挙区内での居住実態がないとして、市選挙管理委員会から当選無効の決定を受けたタレント立川明日香さん(27)が14日、決定を不服として、県選挙管理委員会に審査申し立てを行った。

 県選管は申し立てを受理するかどうか15日に決める。受理すれば60日以内に裁決を出す。

 公職選挙法は、市町村議の被選挙権について、「選挙区内に引き続き3か月以上居住」を要件としている。

 市選管の調査では、立川さんは昨年9月20日付で東京都練馬区から同市に転入したが、今年2月まで水道などがほぼ不使用で、練馬区に住む家族が「当選するまで一緒に住んでいた」と証言。市選管は、居住の要件を満たしていないと判断し、4月20日に当選無効の決定を出した。



(H24/7/17追記)

当選無効のタレント、県選管も「生活事実ない」(読売新聞)



 2月の埼玉県新座市議選で初当選後、選挙区内での居住実態がないとして市選挙管理委員会から当選無効の決定を受けたタレント立川明日香さん(27)について、県選管は17日、「生活の本拠としての起居、寝食、家族同居の事実が認められない」と判断し、「決定は誤り」とする立川さんの審査申し立てを棄却する裁決を出した。

 公選法の規定で、不服がある場合は、裁決書の交付または告示日から30日以内に高裁に訴訟を起こすことができる。高裁は受理日から100日以内に判決を出す。

 市選管の調査では、立川さんは昨年9月20日、東京都練馬区から同市に転入したが、今年2月まで水道はほぼ不使用で、練馬区に住む家族が「当選するまで一緒に住んでいた」と証言。居住実態がないとみなされた。公選法は、選挙区内に引き続き3か月以上居住することを市町村議の被選挙権の要件としている。

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衆院選が終わり参院選に向け充電中の選管書記です。

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